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英国メイ首相の「解散総選挙」の理由と目的をわかりやすく【ニュース解説 by イニシャルメンバーズクラブ】

/ スパナ

イギリスの解散総選挙について

2017年4月、イギリスのメイ首相が、『6月8日に総選挙を実施する』方針を発表しました。

これに対し多くの政党が支持をしていることを考慮すると、高い確率で実施されると考えられています。

なぜこの時期にこのような方針を発表したのか、
理由や目的をしっかり理解しておきましょう。

 

『政権強化』が第一目的

イギリスは、「上院(=貴族院)」と、「下院(=庶民院)」の議会が存在し、日本の衆議院、参議院の関係のように、「原則、下院で可決されれば、上院で否決されても、その法律は成立する」という、下院の優越が制定されています。
現在のイギリスの下院は、
「与党(保守党)が議席の過半数をわずかに上回っている状態」であり、様々な法案を通すには、少し軟弱な状態です。

 

そのようななかで、現在のイギリスは、「与党である保守党の支持率が、非常に高い状態」と考えられています。

 

メイ首相は、「今選挙を行うことで、下院で多くの議席数を確保するため」に、この時期での総選挙の方針発表をしたと考えられます。

 

国が一つにまとまる必要がある

2016年の国民投票によって「ブレグジッド」が採決されました。

これにより、イギリスは、2019年までに正式にEU離脱をしなければならず、それまでに、「EUといういわば国」として決められていた、貿易、関税など、様々なルールの交渉を各国と行う必要があります。

 

特に、EU加盟国の関係者は、

  • 離脱清算金(7兆円以上とも)を支払わなければ、将来の交渉にすら応じない
  • ハードブレグジッドの代案があるとすれば、EUの離脱の撤回のみ

というような、離脱するイギリスに対し、強硬的な姿勢を示しています。
「EU側としては、これ以上離脱する国を増やしたくはないので、イギリスに対して、単一市場のような、EUに所属するメリットを受けさせるわけにはいかない」のです。EUとの交渉は困難を極めることが予想されます。

 

ほかにも、EU離脱ということ自体が初めてのことであるため、新たに決めなければならないことが数多く存在します。

 

そのような海外に対して多くの交渉が求められるなかで、
『イギリス国内の議論で、意見がまとまらないわけにはにはいかない』のです。

 

時期がここがベスト

上記のように、EUとの交渉は難しいものになることが想定されますが、どうにか2年以内に交渉をまとめる必要があります。すでにあまり時間は残されていないのです。

 

ただ今年17年は、フランスが4~5月に大統領選に議会選、ドイツも9月に総選挙があるなど、『EU主要国が国内の政治に忙しくなる』ことが考えられます。

最低限おさえておくべきフランス大統領選まとめ

 

 

もともと、国民投票を実施したイギリスの前首相キャメロン氏は、「EU残留派」です。

 

17年はEU主要国が選挙選が忙しくなることを考慮し、そのまえである2016年に国民投票をちらつかせることで、「EUから移民などに関し有利な条件を引っ張る」ことが意図であったといわれています。

 

しかし、結果としてEU離脱が決まった以上、その交渉はしなければなりませんが、時間は非常に限られています。

 

『あえてフランス大統領選と時期を被らせることで、どうせ交渉できない期間を効率的に使い、交渉開始時期には、しっかりとした政権で挑もうとしている』ことも、この6月8日という日付からも読み解くことができます。

 

EU離脱撤回の可能性は低い

イギリスにはまだ、「EU離脱の撤回」を求める人たちがいます。

しかし、今回の解散総選挙によって、「EU離脱が撤回される結果となるような可能性は低い」とみられています。

 

現在イギリスは、与党である「保守党」と、
最大野党の「労働党」で、ほとんどすべての議席を確保しています。

▼イギリス庶民院(下院)の今の議席数

全議席数 離脱方針 650
保守党 離脱前提 330
労働党 離脱前提 229
スコットランド民族党 撤回 54
自由民主党 撤回 9
その他 28

 

さらに、その労働党も、EU離脱を前提とした選挙戦を行うとみられています。

 

すなわち、多くの議席を獲得されると考えられる、『二大政党がともに、EU離脱を前提としている』のです。

 

そして、イギリスの選挙制度(単純小選挙区制)は、一般に「大政党に有利」な制度です。

 

EU離脱撤回を主張する、スコットランド民族党や自民党が、下院の過半数を獲得する確率が非常に低いと考えられています。

 

 

 

 

もちろん、16年のブレグジッドの確定、トランプ大統領の誕生と、多くの予想外の出来事が起きているなかで安心はできません。

さらに、『そもそもEU離脱することのみで、ほかに何も決まっていない』状態には変わりありません。

しっかりと情報を読み解いていきましょう。