ロシアゲートとは?知識0からわかりやすく徹底解説【ニュース時事解説】
「ロシアゲート」事件をわかりやすく解説
直近において、トランプ大統領に関して、
「ロシアゲート」うという新たな用語が生まれ、
市場にリスク要員として考えられています。
相場に大きな影響を与える可能性があるうえ、
時事問題としても、この問題の背景や、今後の焦点を押さえておきましょう。
ロシアゲート問題の発端は、コミーFBI長官の解任

ポイント
この「ロシアゲート」というニュースの発端は、
2017年5月9日に、アメリカのトランプ大統領が、FBI(米連邦捜査局)のコミー長官を解任したことから始まっています。
コミー前FBI長官は、
「2016年のトランプ大統領が誕生となった昨年のアメリカ大統領選に、ロシアが関わっていた可能性について捜査を実施している」と発言しています。
これにより市場は、「このトランプ大統領自身への捜査を止めるためにFBI長官を解任させたのでは」という疑いをかける形になっています。
☝ロシアゲートの由来
「ロシアゲート」という言葉は、過去にアメリカにあった、政治スキャンダルである、「ウォーターゲート事件」から来ています。
過去に、ニクソン大統領が、証拠隠滅のために、司法長官を辞任させるなどといいいった捜査妨害などを行った、政治スキャンダルである、「ウォーターゲート事件」に状況が少し似ていることから、今回の一件は、『ロシアゲート事件』とも言われています。
ポイント①トランプ大統領は司法妨害のために長官を解任したのか
「トランプ大統領が、自身への捜査を妨害するために、コミー長官をやめさせたのかどうか」がこの問題の1つのポイントです。
トランプ氏は、コミー長官解任の理由として、昨年の大統領選で争ったクリントン元国務長官の私用メール問題に対する不手際を理由としてあげていました。
もちろん、この行動自体が違法なわけではありません。
しかし、もしトランプ大統領が、自身にとって都合の悪い操作をやめさせるために、大統領の権利を行使したとすれば、大きな問題となります。
またメディアから、2017年2月にトランプ氏が、コミー氏に対し、ロシアをめぐる捜査を打ち切るように求めていたという報道も出てきています。
もし、調査が進むなかで、トランプ大統領が司法妨害をしていたという証拠がでてきた場合、トランプ大統領の弾劾も現実視されてきます。
☝「コミー前長官議会証言」6月8日
⇒サプライズなし
元FBI長官のコミー氏の議会証言が、6月8日午前10時(日本時間8日午後11時)から開催されました。
コミー氏の証言は、解任された5月9日以来初めてのことのため、大きな注目を集めていました。
なお、この証言において、前日に発表された草案を超えるような、市場予想を大きく超えるような内容はでませんでした。
しかし、現在、特別検察官のモラー氏が、この問題に関する捜査を進めているため、捜査に影響が出るような情報に関しては、情報開示を避けた可能性もあり、今後の動向にも注意が必要です。
☆7日の草案のポイント
7日午後に、コミー氏が8日の議会証言の冒頭で話す草案を発表しました。
ここでは、事前に想定されていたものと大差がありませんでした。その概要は以下の通りです。
- 1月のトランプ氏との一対一の夕食において、FBI長官を続けたいかと尋ねられた。そこで「必要なのは忠誠心」と忠誠を求められた。
- 2月、大統領執務室での会議後、トランプ氏が人払いをして、フリン前大統領補佐官について、「諦めてほしい。彼はいいやつだ」と述べられた。これは、ロシア大使との接触に関し、フリン氏が虚偽報告したことに関する捜査の中止を求められたととらえた。これはロシア疑惑の捜査全般の中止要請ではないと捉えた。FBIの独立性の観点から強い懸念を感じた。
- 3月30日、トランプ氏が電話をかけてきて「ロシア疑惑捜査において、自身が捜査対象ではないと公表してほしい」と求められた。
ポイント②ロシアが、アメリカ大統領選挙に関与していたのか
また、上記にもあるように、特別検察官に就任したマラー氏が、引き続きトランプ氏に関する捜査を継続しています。
上記の司法妨害の有無とともに、ロシアゲート問題に関しては、
「大統領選にロシアの関与があったのかどうか」も注目です。
あたりまえのことですが、他国の選挙のことに、
ほかの国が直接介入することなどあってはなりません。
こちらに関しても、もしも証拠が出た場合、アメリカだけでなく、国際的な問題に発展する可能性があります。
また、トランプ大統領が、「きつく管理・保護されている情報を、ロシアに漏らした可能性がある」とも報道されており、これ自体は、法律違反というわけではないですが、批判の対象となることは避けられないうえ、これが弾劾の理由となる可能性もあります。
ポイント③トランプ大統領が罷免される可能性がでてくるか
「トランプ大統領が罷免(職を辞めさせること)されるような情報が出てくるか」は最大の焦点といっても過言ではありません。
アメリカの大統領は、何かしらの犯罪や軽罪を受け、弾劾(罪や不正を調べ上げて公開し、責任を問うこと)を受け、有罪となった場合、その職を解かれることを意味します。
ここでいう「有罪」には、大統領の権力乱用や、自己の利益のための職務乱用も含まれています。
アメリカの弾劾のためには、
まず下院において、過半数の可決、
上院で3分の2の賛成などハードルは高く、
現在の両院の議席数から考えても、
かなりハードルは高いうえに、歴史上この形で罷免された大統領はいません。
現在のところ、トランプ大統領が罷免される可能性が浮上した場合、アメリカ政権が混乱するのは間違いないうえに、トランプ氏が公約として掲げていた景気刺激策が遅れる、または実施されない懸念があり、リスク要因になる考えられます。
トランプ大統領の進退は、大きな大きな影響があることが必須
もしトランプ大統領が罷免されれば、大きな混乱が予想されます。
「ペンス副大統領」が自動的に就任することになりますが、
ペンス氏はトランプ氏に比べ、議会との関係性はよく、むしろ決定的な悪材料とはならないのではという見方もあります。
昨年の大統領選の結果がでる直前までは、トランプ氏になれば大きく相場が下落するという見方が多かったにも関わらず、日経平均株価は、次の日には大きく上昇することとなりました。
事前の市場予想や、自分の予想が正しいのではなく、
「相場は常に正しい」のです。