聞き手の印象に残りやすい伝達方法
みなさんは表現の仕方一つで聞き手や受け取り手の印象を良くする事ができる、という事をご存知でしょうか。
どういう事かというと、趣旨や内容は同じなのにも関わらず、Aという表現とBという表現では、相手の感じ方が大幅に変化するという事です。例えば、テレビで放送されている「すべらない話」は、その最たる例かと思います。
就職活動はエントリーシートや面接で自分を表現する場であるとも捉えられます。
このようなシチュエーションでは一体どのような表現の仕方が、より人事の方に好印象を与える事ができるのでしょうか。
今回は、こちらの内容が伝わりやすい表現方法を紹介していきます。
今まで学んできたものが正解とは限らない
まずは、みなさんが今知っている表現方法を考えてみます。それは、小学生の時の作文等で再三言われてきた、「起承転結」という物ではないでしょうか。
元々は、中国の漢詩で用いられた文章の構成方法で、物語や小説はほとんどの場合がこの形式で書かれています。
起承転結とは?
まず「起」とは、話の一番最初の部分です。
「物事の背景や事前に伝えておきたい情報」を示します。
次の「承」は、本題に入る準備をします。
話の導入部分と考えると良いでしょう。メインとなる事が起る直前をイメージして表現されます。
「転」では、「起」「承」で話したことが、「転じる」部分です。
メインとして伝えたいできごとや展開が表現されます。
最後の「結」では、その話がどのように終結したのかということを表現します。
これがみなさんが今まで習ってきた「起承転結」の簡単なまとめですが、
みなさんはどう感じたでしょうか。
起承転結は「興味がある」ことが前提にあって成立する
おそらく、何の違和感もなかったと思いますが、
実はこの起承転結は前提があるのです。
それは、「表現する文章や話を相手に読んでもらえる」という前提です。
小説や物語は、そういったシチュエーションで読まれる事がほとんどです。
例えば、学校の授業で題材となる物語は全員で読み進めるのが前提ですし、本を購入する場合は、興味を持ち自らがお金を払って購入するので、これも読まれる事が前提なのです。
人事の方が就活生一人ひとりに興味を持っている可能性は…
それでは、就職活動はどうでしょうか。人事の方がエントリーシートを見る前から、また面接で話す前から、みなさんに興味を持っているのでしょうか。
リクルートの2019年3月卒の就活に関する調査においては、
- 上場企業の求人数:約13万件
- 就活生:42.3万人
というデータが算出されています。
つまり、「上場企業に限定すると採用人数よりも就活生のほうが多い」のです。
全くないとは言いませんが、数多くの面接をこなう人事の方が、一人ひとりに大きな興味を抱いている可能性が高いとは言えないでしょう。
もちろん、上場企業以外を志望する学生も今は多いですが、
特にエントリーシートや1次面接、グループディスカッションなどで、「落とす為の選考」が行われている場合も多いといえます。
就職活動においては、「人事の方はみなさんの話を聞いてくれる」と考えて就職活動を進めるのではなく、興味の持てない学生を落としているため、「まずは面接官に自分に興味が持ってもらう」と捉えた方が質の高い就活ができるのではないでしょうか。
それでは、一体どんな表現方法が相手の印象に残りやすいのでしょうか。
簡潔かつ説得力のある文章を作成する表現方法を
相手に伝えやすい表現方法の1つとして、「PREP法」と呼ばれるものがあります。主にビジネスシーンで用いられ、簡潔かつ説得力のある文章を作成する表現方法です。
PREP法における「PREP」とは以下の
- P=Point(結論)
- R=Reason(原因、理由)
- E=Example(事例、具体例)
- P=Point(結論を繰り返す)
の頭文字を取っています。
最初に結論を伝え、次にその理由、事例で理由を補強し、最後に結論を再度提示する表現方法です。
起承転結と最も違うのは、最初に、伝えたい結論を持ってくる部分です。(なので、内容によっては、RとEの順番を逆にするのもアリです。)
この最初の結論で、人事の興味を引き、会ってみたい、続きを聞いてみたい、という感情を作れるかどうかがエントリーシートや面接での勝負のカギになると言えます。
PREP法は面接だけでなく、エントリーシートや将来の仕事にも役に立つ
PREP法は、面接はもちろん、エントリーシートの文書などでも有効です。さらに、「結論から話す」というのは、将来のビジネスシーンでも役立ちます。
これを読んでいるみなさんは、改めて、自分の作ったエントリーシートや面接での受け答えの内容を見直し、人事の方にとって、採用したい!と思えるような就活生として選考に臨みましょう。