『EUの単一市場へのアクセス』とは?ここだけでわかるブレグジッドの焦点!

 EU離脱問題の解説 

2017年1月17日に、イギリスのメイ首相が、
「EUの単一市場の撤退」を表明し、
大きなニュースとなりました。

 

これがどういうことなのか、なぜ大きなニュースになったのか、これからはどんな問題が注目されるのか、
ブレグジット問題の現状と今後の焦点を見ていきましょう。

 

 

 

 ブレグジッド=イギリスのEU離脱問題 

昨年2016年6月に、
『イギリスがEUを脱退するか残留するかかどうか』について、国民一人一人が賛成と反対に票を入れて決定する、『国民投票』を行い、『イギリスはEUを離脱する』ことが決定しています。

この、イギリスがEUを離脱する問題を、
『ブレグジッド』と言います。

 

現時点では、「抜けることを決めた」だけであり、2017年3月末までに、イギリスは離脱の旨をEUに伝え、その後約2年間の交渉の後に、正式に脱退となります。

 

 

 

 どのように離脱するか考える前に、離脱することが決まってしまった 

国民投票の直前には、
当時のキャメロン首相率いる「EU残留派」と、
当時のジョンソン氏率いる「EU離脱派」で、
お互いの主張をぶつけていました。

 

しかし、その投票前のプロモーションでは、
その時の「EU離脱派」の政治家の主張は、
イギリス国民に対して、当時の政権やEU対しての不満を煽るものが強く、「離脱をするとすれば、どのようなプロセスで進めていくのか」などが非常に曖昧な状態でした。

 

離脱するとすれば、
どのようにするのかの議論が行われるまえに、

「まず離脱することが決まってしまったのです。

 

 

 EU離脱は多くの人が予想外だった 

EUを離脱することは、今回ニュースで出てきており、下で解説する
「単一市場のアクセスを失う」可能性があるなど、イギリスにも大きな損失を受けることは避けられません。

 

さらに、大きな力を持つイギリスがEUを抜けることは、世界的にも大きな混乱を呼ぶことになります。当日までに様々な世論調査は行われていたものの、実際に開票されるまで多くの人が、
「どうせなんだかんだ離脱しないだろう」という予想をしていました。

 

そして、結果的に、
EUを離脱派が僅かな差で勝利したのは、
「予想外の出来事」だったのです。

 

 

 

 今のメイ首相は「もともとEU残留派だった」 

さらに、予想外の出来事は続きます。
EU離脱が決まったことで、残留を訴えていたキャメロン首相は、首相の辞任を表明し、そのあとの次の首相を決める必要がありました。

 

その後は、与党の党首を決める、
『事実上総理を決める選挙に、離脱派のリーダーであったジョンソン氏が不出馬を表明したのです。

 

結果的に、
「もともとEUへの残留派を所属していた」メイ首相が就任しました。

 

メイ首相は、
「国民投票の結果を尊重して、EU離脱を実行する」と表明しましたが、今までEUに加盟していて、離脱した国はありません。

 

さらに、離脱が決まったあとでも、再投票が噂されるなど、「離脱するにしても、ある程度EU側の主張も受け入れ、メリットである、単一市場へのアクセスを失わないように交渉」を行う可能性もありました。

 

 

今回のニュースによって、
「EUに加盟しているメリットを失おうと、
イギリスの主張を通すことを優先する」という方向性が、明確になったのです。

 

 

 

 EUに加盟している国のメリットと離脱する理由 

今回の会見によって、メイ首相は、『EUの単一市場のメンバーではなく』という表明をしました。

イギリスは、「EUの単一市場のメリット」である、人が自由に移動できるという点が、大きな障害となっていたのです。

 

 

 EUの単一市場とは? 

EUは、『加盟国のなかでは、「ヒト」・「モノ」「サービス」「資本」が、その国の中と同じように、自由に移動することができる』という理念を掲げています。

 

海外旅行にいったことがある人ならわかると思いますが、外国に行く際、なんでも自由に持って行っていいわけではありません。多くの検査を受けることになります。

 

他の加盟国に住み移ることや、
ビジネスや投資をしたりすることも可能です。

 

イギリスに拠点をおいて、他のEU加盟国も含めビジネスを行う企業も、金融業界を含め多くあります。

わかりやすく言うと、「国境に関係なく、同じ国ようになる」とも考えることができます。
こういった、多くの国が、一つの国の経済のようになるシステムを、「EUの単一市場」といいます。

 

こういったことが円滑に進むように、
同じ通貨である「ユーロ」が導入されています。

 

イギリスでは、ユーロは導入されていないものの、もちろん人だけでなく企業が、違う国でビジネスを行うことも可能なうえ、輸入品に対してかかる、原則「関税」もかからずに、貿易を行うことも可能です。EU以外の国に対して、加盟国で同じ関税率を定めるなど、アメリカといった経済大国に対しても、対等に交渉を行うことができます。

 

この単一市場というのは、加盟国の国民にとっても、その国にとっても、非常に大きなメリットがある制度です。

 

 

 

 この「単一市場」がEU離脱の原因でもある 

繰り返しになりますが、人が自由に移動できるということは、EUの加盟国の国民は、他の国で仕事をしたり、引っ越しをすることもできます。

 

そこで、
加盟国の中では比較的貧しかった国から、イギリスに移り住む人が増加していきました。
「ゆりかごから墓場まで」という有名なスローガンがあるように、イギリスは医療などの社会保障が充実しているため、移り住む先として人気であったのです。
※自由な移動と言っても、イギリスへの移動の際には検査自体は存在します

 

 

昔は、そういった移り住んできた人々、「=移民」は、安い賃金で雇うことができるため、イギリスにもメリットがありました。

しかし、「リーマンショック」がきっかけに、
イギリスが不況に陥り、多くのイギリス国民が仕事を失ってしまいます。

そこで、「移り住んできた人たちのせいで、自分たちの仕事を失った」と、感じる人が出てきてしまいます。

 

さらに、イギリスに移り住んできた人の社会保障にかかるお金も、イギリス国民の税金が多くの部分を賄っています。
『移民のせいで、自分たちの生活が厳しくなっている』と考える意見まで出てくるようになります。

 

特別な理由がない限り、EU加盟国からの移民を拒否することはできません。

しかし、単一市場へのアクセスを失っては、
イギリスに拠点を置いて、EU全体に進出している企業が他国に出て行ってしまう可能性もあるなど、大きな経済的打撃をうけることになります。

 

EUの単一市場にいるメリットは受けたいものの、移民には制限をかけたいと考えていましたが、同じような状態となっている他の加盟国もおり、イギリスだけそれが認められることはありませんでした。

 

そして、事実上の『移民を受け入れ、EUに残留するか、
それとも多少のダメージを受けたとしても、移民に制限をかけるか』
という選択となり、
『EUに加盟しているよりも、自分たちだけでいたほうがいい』という世論が大きくなっていきました。

 

 

 

 今後様々な交渉が注目 

EUを離脱する以上、イギリスはこれから、多くの国やEUと、「どのように抜けるのか」、「抜けた後はどうするのか」の交渉を長期にわたり行うことになります。

 

 

 EUとの交渉はさらに困難になる 

EUの単一市場にアクセスできなくなるということは、今までEU加盟国との間で、自由にできていた貿易ができなくなるということです。今までかからなかった、EU加盟国への関税もかかるようになります。

 

「製造業や金融業が単一市場にアクセスできるように交渉する」とも、メイ首相は同じ日に表明していますが、これをEUすべての国が受け入れるとは考えにくいです。

 

他の加盟国としては、
「EU離脱の流れは、イギリスだけで食い止めたい」という考えがあり、
イギリスにとって好条件な条件は、なるべく結びたくないという考えがあります。

 

これはドイツのメルケル首相の『いいとこどりは許さない』という発言や、昨年のイギリスの離脱表明後の、『単一市場への参加は、人の自由な移動を認なければならない』というEUの表明からみても明らかです。

 

イギリスには、多少人の自由な移動を多少妥協し、限界まで単一市場へのアクセスを求めるという可能性もありましたが、今回のメイ首相の主張で、可能性が低くなったと考えられます。

 

「イギリスとEUの関係性はどうなるのか」には
大きな注目が集まります。

 

 

 

 イギリス国内の中でも問題は発生する 

イギリスが抱えている問題は、国外に対してだけではありません。

もともと、国民投票においても、非常に接戦で離脱派が勝利となっています。言い返れば、「国民の約半数は残留派」なのです。

 

残留が決まってからもスコットランド(イギリスの地区)は、単一市場への残留を主張しており、イギリスからのスコットランド独立選挙というシナリオもありえます。

 

国民投票のやり直しの署名が多く集まるなど、『イギリス国民は、大きく2つに分かれてしまっている』と言っても過言ではありません。

 

 

イギリス政府は今後、「EU含む海外」と「それすることを決めた国民」という非常に困難な交渉をこれから進めていかなければならないのです。

 

この記事を担当しました!

ポカリ

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